「Joshua Ellis」のエスコリアルウールマフラー
エスコリアルウール(Escorial Wool)とは 14世紀頃に北アフリカ マグレブ産の小型の羊がムーア人に連れられてスペインに移動しました。 その中で選別された羊毛が15世紀になってスペイン国王の所有となり、集められた羊毛がヨーロッパ王侯貴族達の外套衣服となり、その後16世紀に国王フィリップ2世が、El Escorial宮殿の庭で飼育するようになったことがEscorial Sheepの所以です。
17世紀には、約4万頭にもなり、その糸で高級衣服が作れるとして「国外持出し禁止令」が制定されたほどの貴重品となりました。 しかし、1765年にチャールズ国王がこの法を破り、ザクセン候に100頭を譲ったことで19世紀のナポレオン戦争で姿を消したEscorial Sheepが唯一ザクセン地方に残ることになります。
20世紀になるとザクセン地方のEscorial Sheepは、第2次世界大戦で死に絶え、オーストラリアに残るものだけとなったのです。 1967年、タスマニア島を訪れたPeter Radfordはこの繊維の特異性を見出し、技術者達の協力を得て、衣服として最適な繊維を作りあげる方策を開発し、ここに「ESCORIAL」が再生しました。
現在では、希少性と純血保護の観点から「William Halstead」や「Tayler&Lodge」などの数社が組合を作り、生産・管理を任され販売しています。希少なVicunaより数少ない頭数しか存在しておらず、年間の生産量は、数十トン程度と云われています。 Escorialは夏に涼しく、冬は暖かく人の体温を保つ特徴があり、カールヘアに似ています。 また撚った糸の間に閉じ込められた空気によって弾力性と断熱性が増し、独特のソフトな手触りがあります。
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