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マフラー

マフラー(Mufflers)

マフラーの語源

 マフラーの語源は、マフル(ラテン語maffle包み覆う)の意味からきています。起源については諸説ありますが、15世紀頃にヨーロッパで女性が顔の下部を覆った四角の白布を「マフラー」と呼んでいたことに起因すると云うのが一般的です。
 フランス革命の時代になると「マフラー」は、黒い布で顎から首に巻き付ける現在のスタイルに近いものになりました。 またこの頃からカシミア製や毛皮の襟巻きもドレスの防寒具として普及を始めていた様です。
 19世紀になると肩掛けとしてのショールが一般人にも浸透し始め、レース等の装飾性の強いものが人気であくまでも女性のファッションの一部でした。

20世紀前半のマフラー

 20世紀の最初の20年間に、マフラーは男のワードローブにどうしても欠かせないものになりました。 ウールとカシミアは保温の為に冬には好まれ、暖かく快適な気候の時にはシルクが使われていました。 第一次大戦後、シルクでスクエアの縦横28インチ(約71cm)が各種柄物で主流となり、縞柄と格子柄で長方形のウールも流行していました。

ニューヨークの人々

 1928年 「メンズウェア」誌で、お洒落なニューヨークの人 200人が着用していたマフラーを調査した結果、本当のベスト・ドレッサーだけに着用されている白いマフラーがあったと伝えています。 素材は他のマフラーと変わりのないものですが、先端に房飾りがついていました。 ただもうひとつ重要な点は、薄手の素材しか見られなかったと云う事実があることです。 ニットのウール・マフラーでさえ極細の毛糸で編まれていたようです。 この調査報告には、統計表がつけられていました。 無地で色物のカシミア(14%)、柄物の薄絹(12%)、柄物の厚手絹(12%)、ニットのウール(11%)など……。 当時でも無地のカシミアをする人が多かったことが伺えます。

1930年代から1970年代にかけて

 1933年の「メンズウェア」誌は、次のように記述。 「恐らくマフラーにおける最も重要なスタイルの開発は、大都市のごく一部で広く受け入れ始めていたハッキング・スカーフ (hacking scarf) だった。」と。 英国皇太子によって着用された水玉模様の薄絹地を起源とするこのマフラーは、長さが72インチ(約183cm)あって、ふたつに折りたたみ、その中央にでる輪に反対側の端を通して首を締めるのが特徴で、薄絹とカシミア素材がよく売れていました。
(現在、一番使われているシンプルなマフラーの巻き方・結び方の一つ)
 1930年代中期には、通常長さ53インチ(約135cm)、幅13インチ(約33cm)というリーファー(reefer)型のマフラーが人気となって、スクウェアやハッキング型のマフラーを押しのけてしまいました。 また20年代の終わりに一般化した白は、この頃にもまだ人気はあったのですが、評判となっていた色としては、グレイ、海老茶、濃紺、黄褐色、鮮黄色で、特に鮮黄色は濃紺のオーバーコートに合わせるとひき立っていた様です。
 1940年代は、戦時生産の規制もあり、男性衣料の多くのアイテムに打撃を与えていましたが、マフラーはどうにか本来の姿を持ちこたえていました。
 1950年代になると、ウールに似たアクリル繊維が注目を集め、縦52インチ(約132cm)、幅12インチ(約30cm)という形のスカーフが作られるようになりました。
 また50年代後半には、「カレッジ・カラー」を使ったカレッジ・ファッションも自然な動きの中の一つでした。 この当時の6フィート(約183cm)型のマフラーが、60年代全般から70年代まで大学生の間に人気を保っていました。 それが日本のアイビーブームにもつながっているマフラーの一つです。

日本におけるマフラー

 日本に「マフラー」がいつ頃伝わったのか、はっきりした記録はありません。日本では「マフラー」のことを長い間、「襟巻き」と呼ばれていました。 古い文献によると、1461年に「一休和尚」が詠んだ歌に「襟巻」と云う記述があることから、この時代から「襟巻き(首巻き)」と呼ばれる防寒具があった様です。

「襟巻のあたたかそうな黒坊主こやつが法は天下なり」 ※黒坊主とは親鸞上人

 その後時代が進み、明治時代に入って、西欧諸国との交流が本格化してから肩掛けと呼ばれた「ショール」がもたらされました。 1873年には、初めて毛皮の襟巻き「マフラー」が販売されています。 ですが、日本では古来より、首廻りの保護に関して云えば、「頭巾」や「手ぬぐい」が用いられていたのも事実です。 今日日本では用途によって、また大きさや形などから和装用として使われるものを「ショール」、長い長方形や三角形のものを「ストール」、正方形や長方形で薄手のものは「スカーフ」、そして主にウールでコート下に用いるものを「マフラー」と呼んで区分けされていることが多いです。しかしマフラーが大きくなり、ストールとの区分けが曖昧になってきていることもあります。

マフラーの存在意義

 1970年代以降、マフラーが様々な服装で重要な部分であり、どんなファッションにも適合する耐久力のある安定した商品となりました。 それはマフラーが、どんな大きさにもどんな形にも自由に変えられ、その時々での最も新しいシルエットの洋服にも適合するからです。 今現在においても、変幻自在の特色を持ったマフラーは、お洒落の世界にどうしても欠かせないものとなっています。

マフラーの巻き方

現在「マフラーの巻き方」には、多くの種類がありますが、そのなかで「男性の巻き方」としてお薦め出来るこの三種類が、シンプルで簡単ではないでしょうか。

1.マフラーの長さに関係なく幅を半分に折り、首から掛けて前で結んだ後、形を整える結び方。

2.ある程度の長さが必要ですが、マフラーの幅を半分に折り、さらに縦にも長さを半分に折った後、両端を反対側の端の輪に通して引っ張る結び方。
「ラット・キャッチャー」と云い、「ねずみ取り風の結び方」と呼ばれている。

3.長いマフラーの中心を首の正面にもっていき、一度後ろで交差させ、前にもってきて結んだ後に形を整える結び方。

参考文献
・スタイル社『エスカイア版20世紀メンズ・ファッション百科辞典』 (日本語版)
・婦人画報社『男の定番辞典』
・万来舎 『メンズ・ウエア素材の基礎知識[毛織物編]』
・平凡社 『世界大百科辞典』

 

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